夏から続く「女子高生連続誘拐殺人事件」と「連続放火事件」。更紗が保護した少年・海斗は、犯罪者の心理がわかるという特異な感受性を持っていた。彼は史上最凶の犯罪者・タナトスと浅からぬ因縁があるようで――。
女子高生連続誘拐事件と連続放火事件。 ひとつの街で起こっている猟奇的な二つの事件に、世間は三年前の殺人鬼タナトスの再来と騒ぎ立てる。 いじめの被害者に代わって加害者を殺してくれる。 人によっては正義の味方にも思えるタナトスを崇拝する人も少なくなく。 未だ逃亡中のタナトスは、この二つの事件に絡んでいるのか。 代行殺人ってもちろん犯罪なんですけど、すれすれのところで耐えて生きている被害者からすると、タナトスの存在は神のように感じたのかもしれない。 そこでタナトスの手を取るのか否かは、理性だったり本能だったり、それぞれの心次第。 そしてタナトスの弟というだけで生きづらくなるカイトくんも気の毒。 犯罪者の気持ちに共鳴できて、その視点で事件を解決に導ける。 すごい能力ではあるけど、これもまたすれすれ。 心の危うい状態が何度も出て来て、読んでいると引っ張られそうになる。 現実もそんなすれすれのところで生きてる人、瞬間って少なくないのかもしれない。 あとがきを読むと、シリーズになってるのかな。 続編があるなら是非読みたい。
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